謀反の末に




一ヶ月、いや、もう半年ほどだろうか
主への反逆の罪で囚われ、窓もない地下牢に繋がれた
手足の重い鎖が身の自由を奪い、身動きさえままならない
仲間たちとも引き離されお互いが今どうしているのかなど知る由がなかった
今姿を見ているのは、数日に一度死なない程度に
冷えた飯を運び込む看守の男ひとりだけだった

「よう、生きてるか」


卑下た笑みを浮かべながら看守が膳を持って牢へ入ってくる

「ほぅら、飯の時間だ」


平べったい薄汚れた皿に申し訳程度に盛られた冷や飯
男は俺の髪を掴み異臭のするそれへ突っ込んだ
後ろ手に鎖を巻かれ、犬のように這いつくばりながら租借する
水さえ看守の与えるものでしか口にできなかった




「うら、旦那様がお呼びだぜ。ひひ」


乱暴に鎖を引かれ、牢をでた
動くこともままならなかったせいか、足取りがひどくおぼつかない
筋力の衰えた体を引きずるように歩く俺を、看守は相変わらず卑下た視線で見続ける
看守は締りのない口の端から涎を垂れ流しつつ、顎でドアを指す

「入んな。ひひ。おとなしくしてたご褒美だとよ。ひひ」


猫背の背中をさらに曲げて、戸を開いた
薄暗く、汚れた部屋にはこちらに尻を向ける形で繋がれた一人の男がいた
目隠しをされているその男はこちらの気配に気づいたのか、動けないからだを揺らし
さらに尻をあげ懸命に誘っている
俺は看守の言いなりに薬を飲み、自身を立たせて押し込む

「溜まってたんだろ?穴見た途端盛りやがって。ひ・・ひひ」

操られるように、ただ機械的に腰を打ち付ける
その横で看守も自分のモノを扱いていた
がくがく揺れる身体を他人行儀に見ながら、抉っていく
男が低い唸り声にも似た嬌声で喘いでいる
以前の俺だったなら嫌悪に吐くくらいはしていただろう
男の快楽の咆哮を聞いても今はなんとも思わない。

「あ・・・うう・・!」

ひときわ深く打ち込んだ際に、男の目隠しが解けぱさりと床に落ちた。

「ああ・・・お願いです・・やめねぇでくだせぇ・・!」
「あ・・・なた・・は・・」



反逆の長を務めた男が、変わり果てた姿で『人形』となっていた



-fine-